2014/05/31

Thanks, 2014 Playoffs Conf. Semi-Finals.

壮絶な1st ラウンドの反動か、結果だけを見ると「レギュラーシーズンの上位チームが下位チームを順当にパスした」という展開。だからといって、盛り上がりに欠けたわけではなく…。いや、むしろ「負けてしまえばシーズン終了」という状況の中で、盛り上がらないわけがない。チームとしての実力差は明らかでも、何が起こるかわからない短期決戦。結果的にアップセットは起こらなかったけれど「起こりそうな予感」とか「起こしてほしい期待」はあった。個人的には、ウィザーズの躍進とスパーズの美しさに心奪われた。

Eastern Conference

Pacers(#1) vs Wizards(#5) : Pacers 4-2

2014/05/05 Wizards 102 @ Pacers 96
2014/05/07 Wizards 82 @ Pacers 86
2014/05/09 Pacers 85 @ Wizards 63
2014/05/11 Pacers 95 @ Wizards 92
2014/05/13 Wizards 102 @ Pacers 79
2014/05/15 Pacers 93 @ Wizards 80

良くも悪くも、ウィザーズのシリーズだったと思う。勝敗を分けたのは、認めたくないけれど「経験の差」。3Qまでリードを保ちながらホームで逆転負けを喫した第4戦が大きかった。そして、負けた4試合のうち3試合は、ゲームの閉じ方に失敗している。確率の高い2点を狙いにいくべき場面でも、ショットクロックを残したまま3ポイントを狙いにいくなど、自滅のポゼッションが多かった印象。もし状況に応じた正しい戦術が与えられていたら……、もし幾度となくスターターがつくったビハインドを削った「AARP ユニット」に託していれば……。おそらく勝てた試合もあっただろう。でもそれは、目先の勝利を取りに行くのであればの話。中長期的に強豪チームになるためには、チームの「顔」であるジョン・ウォール(23歳)とブラッドリー・ビール(20歳)のバックコート・コンビと心中する必要があったのだ。あぁ、成長の痛み。

バックコートの得点力とスピード、トレバー・アリーザの3とDの職人ぶり、ネネのペリメーター、ポーランド・ハンマーことマルチン・ゴータットのリバウンドへの貢献……チームとしてウィザーズのほうが勢いもあったと思う。

たしかにペイサーズのディフェンスのプレッシャーはすごかったけれど「ペイサーズが圧倒した」という印象はない。「ウィザーズが自滅した」というのが僕の結論。ただ、理由はどうあれ負けてしまえば同じなのだが。FAになるアリーザとゴータットをどうするのか、プレーオフのサプライズチームは、密かに注目を集めている。

ペイサーズは勝つには勝ったけれど、イースト首位の強さを証明することなく、不安感しか残らなかった。

Heat(#2) vs Nets(#6) : Heat 4-1

2014/05/06 Nets 86 @ Heat 107
2014/05/08 Nets 82 @ Heat 94
2014/05/10 Heat 90 @ Nets 104
2014/05/12 Heat 102 @ Nets 96
2014/05/14 Nets 94 @ Heat 96

あらためて、ヒートの強さが際立ったシリーズ。レギュラーシーズンの相性(ネッツの4勝0敗)から、最後の数試合にスターターのプレイタイムを制限して狙い通りのカンファレンス6位になったネッツだったが……「波乱はなしだ」った。第2戦と第5戦はネッツが勝てる試合……勝たなければいけない試合だった。終盤の大事な時間帯で得点できずに沈んでいく様は、王者の力強さを際立たせるだけだった。

ネッツで言うと、ポール・ピアースの存在感が目立った。同時に、ジョー・ジョンソンとデロン・ウィリアムズで大丈夫なのか? という疑問が一層大きくなった。KGの引退説、ピアースの移籍説……オフシーズンのネッツからも目が離せない。


Western Conference


Spurs(#1) vs Trail Blazers(#5) : Spurs 4-1

2014/05/06 Trail Blazers 92 @ Spurs 116
2014/05/08 Trail Blazers 97 @ Spurs 114
2014/05/10 Spurs 118 @ Trail Blazers 103
2014/05/12 Trail Blazers 103 @ Spurs 92
2014/05/14 Spurs 104 @ Trail Blazers 82

1st ラウンドの鬱憤を晴らすかのよう。勝った4試合はすべてブローアウト。スパーズの圧倒的な美しさといったら、もう! ブレイザーズを寄せつけない強さ。ベンチが薄いブレイザーズは、ホームで1勝するのがやっと。パーカーの素晴らしさはもちろん、レナードの鮮烈さが目立った。新しいニックネームが決まったり、初のポディウム・インタビュー(試合後の会見場での記者会見。コーチや活躍した選手が登場する。お立ち台、のようなもの)を行ったり、エース後継者としての認識も定着してきた。

Thunder(#2) vs Clippers(#3) : Thunder 4-2

2014/05/05 Clippers 122 @ Thunder105
2014/05/07 Clippers 101 @ Thunder 112
2014/05/09 Thunder 118 @ Clippers 112
2014/05/11 Thunder 99 @ Clippers 101
2014/05/13 Clippers 104 @ Thunder 105
2014/05/15 Thunder 105 @ Clippers 98

セミファイナルでもっともフィジカルだったシリーズ。1試合のフリースローが20本なんて当たり前。取り敢えず突っ込んでファウルをもらうウェストブルック。ファウルをもらうのが上手なクリス・ポール。ファウルでしか止められないデュラント。ブレイク・グリフィンとサージ・イバカの因縁……。デアンドレ・ジョーダン、ケンドリック・パーキンスのディフェンシブ・センターのマッチアップ。ファウルが多くなる原因がいっぱい。
バスケットボールのルールを考えると、時間を止めて高確率なシュートで得点できるフリースローは有効な得点方法だ。「プロスポーツは結果がすべて」という意見も、ある側面では正しい。だからといって、フリースローで得点を稼ぐゲームプランは、プロフェッショナルなスポーツエンターテインメントとして「どうなのか?」という思いもある。

ファウルが多い試合で勝敗を分けるのは、ベンチの差だろう。クリッパーズは、シックスマンのジャマール・クロフォード、ダニー・グレンジャー、グレン・デイビスのオプトアウト組、ダレン・コリソン、なかなかのベテラン揃い。なのだけれど…ですよ。サンダーのスピードを考えると、ディフェンシブに振るのは厳しいか。オフェンシブなユニットを組むことはできるけれど、多くのプレータイムを任せられるのは、ジャマールくらい。

サンダーのベンチは、デリック・フィッシャーとカロン・バトラー、ニック・コリソンのベテラン組と、若手のレジー・ジャクソン、スティーブン・アダムス。出番は少なかったけれど、ジェレミー・ラムもいる。デュラントとウェストブルックはシーズン中からプレータイムが多いので、ベンチの役割はオフェンスよりもディフェンスが中心。どちらのチームもベンチメンバーだけで戦えるほどの威力はないけれど、サンダーのほうがベンチの柔軟性があった。

クリッパーズはオーナーの人種差別発言問題もある中で、よく戦ったと評価することもできるけれど、結果的にシリーズの行方を左右した第5戦終盤のクリス・ポールのゲームメイクやファウルトラブルなど、自滅感も否めない。裏を返せば、伸びしろがたくさんある。就任1年目でフランチャイズ記録となる57勝25敗を記録したドック・リーバスが、このチームをどう伸ばしていくのか、来シーズンにも注目したい。

2014/05/24

Ty Lawson's Highlights on Offence (2013-14)

ローソンのオフェンス・ハイライト。ドライブからのレイアップ、ジャンプショット、キックアウト、アシスト、3ポイント……攻め手が多彩で、見ていておもしろい。シーズン平均17.6得点、8.8アシストと数字でも結果を残した。



一方で、ローソンがボールをもったところからの1on1やピック&ロールは、チームオフェンスとしてのバリエーションに欠けるのでは……という見方もできる。PGだからボールを持つのは当然だけど、他のオプションも増やしていくべきだろう。おそらく、ブライアン・ショーがシーズン前半、ハーフコートバスケットにこだわった理由は、そこにあると思う(うまくいかなかったけれども)。

来シーズンは、ガロとマギーも戻ってくる。順当にいけば、ガロがファースト・オプションということになるだろう。フロアにいるローソン以外の4人が、どうオフェンスに絡んでいけるか。ローソンが他の4人をどう使うか。速攻とハーフコートのフリーオフェンスだけでは、プレーオフを深く進めない。フランチャイズ記録の57勝をマークし、コーチ・オブ・ザ・イヤーを受賞したジョージ・カールとの別れを選んだナゲッツなら、そのことは十分に理解しているはずだ。ブライアン・ショーがローソンに何を授けるのか。ナゲッツ浮上のカギは、ローソンが握っている。ロスターきつきつだけど、ローソンのメンターを獲ってほしいなあ。

2014/05/22

111 Wins

2014/05/21 Thunder 77 @ Spurs 112

TEAM 1Q 2Q 3Q 4Q TOTAL
OKC 26 18 18 15 77
SAS 24 34 33 21 112

スパーズの1勝で迎えたウェスタン・カンファレンス・ファイナル第2戦。アシストはサンダー18本に対してスパーズ27本とか、リバウンドはサンダー38本に対してスパーズ53本とか、ラス&KDのFGが40本中13本(32.5%)とか……。「どうした?OKC」というべきか「すごいぞ!SAS」というべきか。ハイライトはこちら

ダニー・グリーンが自身のプレーオフ記録に並ぶ1試合7本の3ポイント成功とか、ティム・ダンカンのプレーオフ153回目のダブルダブル(14得点、12リバウンド)とか、いろんな記録も出たけれど、やっぱり1番はこれでしょう。スパーズBig-3のプレーオフ勝利数が歴代1位達成。




2014/05/21

Hornets came back

via nba.com/hornets/

12年の時を経て、正式にホーネッツが帰ってきた。どんなチームになるのでしょう。新ユニフォームの発表は6月19日だとか。


Press Release : Charlotte Hornets Name Returns to Carolinas
Related : Charlotte Hornets Brand Identity Unveiled

2014/05/19

Ennui Leonard

スパーズのエース継承者(だと勝手に思っている)は、22歳のシャイな少年でもある。

別の意味でも(?) "Sweet"だなあ。

2014/05/15

Sugar K Leonard

2014/05/14 Trail Blazers 82 @ Spurs 104

TEAM 1Q 2Q 3Q 4Q TOTAL
POR 19 25 19 19 82
SAS 19 32 26 27 104

スパーズが4勝1敗でブレイザーズとのセミファイナルを制し、3年連続でウェスタン・カンファレンス・ファイナル進出を決めた。エースのトニー・パーカーがふくらはぎを痛めて前半途中でロッカールームに下がる中、クワイ・レナードが攻守にわたってチームを牽引。22得点、7リバウンド、5スティール(!)の活躍は、レナードのためのハイライトフィルムのよう。スタッツはこちら

そんな活躍もあってか、全国放送のハーフタイムショーでシャキール・オニールが付けたニックネームが、シュガー・ケイ・レナード(Sugar K Leonard)。

Sugar K Leonard  (via TNT)

元ネタは、1980年代に活躍したボクシングのスーパースター、シュガー・レイ・レナードSugar Ray Leonard)なのは、言うまでもなく。ちなみに、うっとり見とれてしまうような場面も「Sweet」と言ったりするらしく。見とれる → Sweet → 甘いもの → 砂糖 → Sugar となったのだと思う。
「Sweet」には「甘い」のほかに「甘美な」「心地よい」「うっとりする」という意味もある。

シャックといえば、ポール・ピアースの「ザ・トゥルース(The Truth)」、ティム・ダンカンの「ビッグ・ファンダメンタル(Big Fundamental)」など、いろいろな選手にニックネームを付けることで知られているけれど、定着するかどうか。



MJを思い出させるダンク。うっとりするわー。

2014/05/07

Prediction, 2014 Playoffs - Conf. Semi-Finals

すでに2試合終わってしまったけれど、ファーストラウンドの勝ち上がりチームが予想と違ったので、あらためてセミファイナルの予想。
プレーオフ開幕前の予想はこちら

Bracket of 2014 Playoffs ©NBA Entities 

Eastern Conference

Pacers(#1) vs Wizards(#5) : Wizards 4-2

当初は4勝3敗でウィザーズとしていたけれど、ロイ・ヒバートの不調が相当根深そうで、4勝2敗でウィザーズと予想。4勝1敗もあり得る。「アリーザがポール・ジョージを抑えられたら勝機はある」と書いたけれど、第1戦アウェーの雰囲気でもけっこう抑えられていたので、いけそうな気がする。ウィザーズが試合を落とすとすれば、ファウルトラブルかな。アウトサイドシュートが決まらなくても、オフェンス・リバウンドが取れているので(第1戦では)、ウィザーズ有利と予想。カンファレンス・ファイナルまで突っ走って欲しい。

Heat(#2) vs Nets(#6) : Nets 4-3

こちらも予想通りの勝ち上がり。直接対決でネッツの4勝0敗という相性の良さ(?)を買って、ネッツの勝ちと予想。ただ、ネッツはファースト・ラウンドで7戦まで戦っているから疲労が心配。ヒートはボブキャッツをスウィープしたから休息は十分。元気なレブロンを誰が抑えるか……ポジション的にはジョー・ジョンソンのマッチアップになるけれど、ショーン・リビングストーンがマッチアップすることも考えられる。ピアースが3番に入るってのもアリだな。興味深い対戦。

Western Conference

Spurs(#1) vs Blazers(#5) : Spurs 4-2

シーズン後半の勢いのままロケッツが勝つと思ったけれど、ブレイザーズが勝ち上がってきた。シーズン序盤、首位を走っていたころの強さがダブる。ひっとしたら、ひょっとするかも。トニー・パーカー対ダミアン・リラード、ティム・ダンカン対ラマーカス・オルドリッジ。世代交代が起こるのかどうか。昨シーズンはルーキー・オブ・ザ・イヤーに輝き、今シーズンはオールスターに選ばれたリラードが狙っているのは、パーカー越えだろう。
オールスターPGとオールスターPFの対戦に注目が集まるけれど、こういう対戦でキープレーヤーになるのは3番手、4番手だったりする。スパーズなら、クワイ・レーナード。ブレイザーズなら、ニコラス・バトゥーム。渋めのSF対決にも注目したい。

Thunder(#2) vs Clippers(#3) : Thunder 4-3

第2シードと第3シードの対決。セミファイナルで最もハードなシリーズになりそうな予感。第1戦はアウェーのクリッパーズが完勝。最大で29点リードする圧倒的な試合。前半終了時で69対52、すでに試合が決まった感さえあったほど。このままで終わるサンダーではないと思うけれど、デュラントのシュートタッチが戻っていなくて、不安は残る。ファーストラウンド、グリズリーズのツインタワーに相当苦戦したことを考えると、グリフィン&ジョーダンにも苦戦しそう。ただ、このシリーズはオーバータイムでというよりは、打ち合いを制したほうが勝ちそう。

2014/05/06

1st Round's Clutch Time.

ファーストラウンドでどれだけクラッチタイムがあったかという統計。


そりゃあ、おもしろいわけだ。トムさん、ありがとう。

2014/05/05

Farewell, 2014 Playoffs 1st Round.

いやあ、おもしろい。第7戦までもつれたシリーズが5つ。5点差似内が22試合。3点差似内が14試合。オーバータイムが8試合。近年稀に見る壮絶なファーストラウンド。「あのときのタイムアウトが…」「あのときのフリースローが…」「あのときのファウルが…」。一つひとつのプレーが勝敗を分ける紙一重の展開。「WIN OR GO HOME」は、TNTが掲げるプレーオフ中継のタグラインだけれど、終わってしまうのが寂しくなるくらい良い試合の多いファーストラウンドだった。

Eastern Conference

Pacers(#1) vs Hawks(#8) : Pacers 4-3

2014/04/19 Hawks 101 @ Pacers 93
2014/04/22 Hawks 85 @ Pacers 101
2014/04/24 Pacers 85 @ Hawks 98
2014/04/26 Pacers 91 @ Hawks 88
2014/04/28 Hawks 107 @ Pacers 97
2014/05/01 Pacers 95 @ Hawks 88
2014/05/03 Hawks 80 @ Pacers 92

何とかギリギリのところで勝ったペイサーズ。ホームコート・アドバンテージがなかったら、危なかったと思う。シーズン勝率5割以下のホークスにここまで苦戦するとは……と思うかも知れないけれど、史上6度目のアップセットもあり得た話。というか、できたと思う。第7戦はホークスの自滅に近かったな。3ポイント狙いすぎというか。アル・ホーフォードの離脱がなければ…と惜しまれる。

話を戻して、ペーサーズ。トレード期限終了後の戦績は、15勝13敗(2月3勝0敗、3月8勝10敗、4月4勝3敗)。ダニー・グレンジャーを放出してから、ほぼ5割の勝率。ベテランの存在って大事だったんだな。グレンジャーの代わりに加入したエバン・ターナーは、あからさまなタンキングだったとはいえ、76ersの得点源だった選手。けれど、チームは得点力不足に悩んでいる。

来季を見据えてのトレードだったかもしれないけれど、ランス・スティーブンソンとエバン・ターナーが上手くいかないだろうなあと思っていたけれど……案の定の不仲説。だってターナーは、2010年ドラフト1巡目2位指名の選手だし、スティーブンソンは2010年ドラフト2巡目40位指名の選手。意識しないはずがない。一般的な評価としては、ターナーのほうが格上。でも、チーム的にはスティーブンソンはスターターで、ターナーがベンチメンバーという妙な違和感。スティーブンソン、調子の良いときはイケイケだけど、ダメなときはからっきしなんだもん。試合を見ていてもメンタルが弱そうなのが伝わってくる。

加えて、ヒバートの不調。アンドリュー・バイナムは、どこいった? 第7戦で何かきっかけを掴んだっぽく見えたけれど、ペイサーズの黄色信号は点滅し続けている。


Heat(#2) vs Bobcats(#7) : Heat 4-0

2014/04/20 Bobcats 88 @ Heat 99
2014/04/23 Bobcats 97 @ Heat 101
2014/04/26 Heat 98 @ Bobcats 85
2014/04/28 Heat 109 @ Bobcats 98

ファーストラウンド唯一のスイープ。やっぱりヒートは強かった。終盤休みがちだったドウェイン・ウェイドも活躍したし、4連勝で休息も取れるし、BIG-3の揃ったヒートに死角はないのか。いや、そうでもない。……と感じた。失点は少ないけれど、得点も少ない。リバウンドはボブキャッツのアル・ジェファーソンとジョシュ・マクロバーツに負けているように見えた。ヒートのリバウンドリーダーはレブロンで(プレータイムの多さもあるけれど)、不安が残る。レブロン頼みの傾向は昨年、一昨年よりも強くなっている。不安があるとすれば、それだけだ。ボブキャッツはエースのアル・ジェファーソンが第2戦で足をケガしてしまい……さぞかし残念だったろう。オーナーのマイケル・ジョーダンも残念だったに違いない。


Raptors(#3) vs Nets(#6) : Nets 4-3

2014/04/19 Nets 94 @ Raptors 87
2014/04/22 Nets 95 @ Raptors 100
2014/04/25 Raptors 98 @ Nets 102
2014/04/27 Raptors 87 @ Nets 79
2014/04/30 Nets 113 @ Raptors 115
2014/05/02 Raptors 83 @ Nets 97
2014/05/04 Nets 104 @ Raptors 103

チーム改革に成功して第3シードに躍進したラプターズと、前半の不調&ブルック・ロペスの離脱を乗り越えて第6シードになったネッツ。レギュラーシーズン直接対決2勝2敗の両チームはどの試合も接戦で、イーストで一番盛り上がったシリーズかも。エア・カナダ・センターの場外すごかったなあ。ネッツはジョー・ジョンソンのミスマッチを利用したワン・オン・ワンとデロン・ウィリアムズのドライブ。ラプターズはカイル・ロウリーのドライブとデマー・デローザンのワン・オン・ワン。分かっているけど、止められない。オフェンスのオプションを多く持っていたネッツのほうが、結果的に「状況に対応できた」ことになり、僅差で勝利を手にした。ピアースの働きは、セルティクス時代のそれとは全然違う地味な役回りだったけれど、さすがに"The Truth"、いぶし銀な活躍に救われた。


Bulls(#4) vs Wizards(#5) : Wizards 4-1

2014/04/20 Wizards 102 @ Bulls 93
2014/04/22 Wizards 101 @ Bulls 99 (OT)
2014/04/25 Bulls 100 @ Wizards 97
2014/04/27 Bulls 89 @ Wizards 98
2014/04/29 Wizards 75 @ Bulls 69

シーズン前の優勝予想は、実はブルズだった。でもそれはデリック・ローズが完全復活する前提。ローズが再度故障して、ルオル・デンがトレードに出され……「最早これまでか」と思ったけれど、そこはブルズ。リーグ2位のディフェンス力と拾ってきたD.J. オーガスティン(チーム得点王)の活躍もあって、リーグ27位のオフェンス力&層の薄すぎるベンチながらレギュラー・シーズンをイースト4位で乗り切った。

……と、ぼくらは往々にしてブルズを主語にして語りがちなのだ。どのチームにだってケガ人はいる。称えるべきは勝ったウィザーズ。ジョン・ウォールとブラッドリー・ビールの破壊力あるバックコートに注目が集まるけれど、実はウィザーズもディフェンス力で勝ってきたチーム。トレバー・アリーザ、ネネ、マーチン・ゴータットのフロントコート陣は、ディフェンス力だけでなくオフェンス力もある。リーグ9位のディフェンスと、リーグ16位のオフェンス。なかなかのバランスの良さ。

攻守のバランスだけではなく、若手とベテランのバランスも良い。ウォールとビールが初めてのプレーオフでも、優勝リングを持っているアリーザ、ファイナル経験者のゴータット、ナゲッツ時代に毎年のように出場していたネネのほか、15年目のアンドレ・ミラー、アル・ハリントン、ドリュー・グッデン……。厚くはないけど、薄くもないベンチメンバー。

ウィザーズが得意とするのはシューティングゲーム。1試合あたりのミッドレンジシュート数がリーグ1位というデータもある。確率は良くないけれども。ペイント内にDPOYのジョアキム・ノアがいても、いつもどおりのゲームプランで臨めるのだ。シードの順位は違えど、順当と言える勝利だったと思う。



Western Conference


Spurs(#1) vs Mavericks(#8) : Spurs 4-3

2014/04/20 Mavericks 85 @ Spurs 90
2014/04/23 Mavericks 113 @ Spurs 92
2014/04/26 Spurs 108 @ Mavericks 109
2014/04/28 Spurs 93 @ Mavericks 89
2014/04/30 Mavericks 103 @ Spurs 109
2014/05/02 Spurs 111 @ Mavericks 113
2014/05/04 Mavericks 96 @ Spurs 119

スパーズがターンオーバーで自滅した試合もあったけれど、マブスのがんばりがすごかった。やっぱいいチームだなあ、マブス。レギュラーシーズンの直接対決でスパーズが4勝0敗だったなんて思えない拮抗した試合展開。

調子を落としていたとはいえダーク・ノビツキーの存在感は抜群で。モンテ・エリス、ショーン・マリオン、サミュエル・ダレンベア、ビンス・カーター、ブランドン・ライト、デビン・ハリス、ホセ・カルデロン、デジャン・ブレア……良い選手がいっぱいだ。しかもヘッドコーチのリック・カーライルが実戦した「スパーズ攻略法」がズバリ的中。ゾーン気味のディフェンスで、スクリーンプレーからのオープンルックスを作らせず、スパーズが得意とするパッシングゲームをさせなかった。

長所を消されたスパーズは、ダンカン、ジノビリ、パーカーの個人技で何とかマブスのディフェンスをこじ開ける苦しい戦い。やっと「らしさ」が出せた第7戦、序盤からパーカーがエンジン全開。ディフェンスをかき回し、アウトナンバーが出てきて……といつものスパーズの戦いができた。


Thunder(#2) vs Grizzles(#7) : Thunder 4-3

2014/04/19 Grizzlies 86 @ Thunder 100
2014/04/21 Grizzlies 111 @ Thunder 105 (OT)
2014/04/24 Thunder 95 @ Grizzlies 98 (OT)
2014/04/26 Thunder 92 @ Grizzlies 89 (OT)
2014/04/29 Grizzlies 100 @ Thunder 99 (OT)
2014/05/01 Thunder 104 @ Grizzlies 84
2014/05/03 Grizzlies 109 @ Thunder 120

4試合連続のオーバータイム。デュラントが不調の試合は落としているし、3ポイントの確率がいい試合はグリズリーズが取っているし。トランジションゲームか、ハーフコートバスケットか。自分たちのペースで試合を進めたチームが勝っているのも面白いところ。マイク・コンリー、良い選手だわ。ザック・ランドルフの第7戦出場停止が痛すぎ。サンダーのスティーブン・アダムスにとって、ザックを出場停止に追いやったことは、今シーズン1番の大仕事だったと思う。ちなみに、2番目の大仕事はスパーズのクワイ・レナードの薬指をへし折ったことだと思う。


Clippers(#3) vs Warriors(#6) : Clippers 4-3

2014/04/19 Warriors 109 @ Clippers 105
2014/04/21 Warriors 98 @ Clippers 138
2014/04/24 Clippers 98 @ Warriors 96
2014/04/27 Clippers 97 @ Warriors 118
2014/04/29 Warriors 103 @ Clippers 113
2014/05/01 Clippers 99 @ Warriors 100
2014/05/03 Warriors 121 @ Clippers 126

壮絶な打ち合い、そして、削り合い。これぞプレーオフ。アンドリュー・ボガットの肋骨骨折離脱でインサイドが手薄になるなか、デビッド・リー、ドレイモンド・グリーン、ジャーメイン・オニール、マリース・スペイツらがクリッパーズのブレイク・グリフィン、デアンドレ・ジョーダンらと対抗。両チームともファウルトラブルに悩まされるシリーズ。名ポイントガードが両ヘッドコーチの采配も見ごたえあった。ウォリアーズのマーク・ジャクソンがヒルトン・アームストロングにハック・ア・ジョーダンを仕掛けさせるも、ドック・リバースは一歩も引かず、ハック・ア・アームストロング返しをお見舞いするシーンも。

クリッパーズオーナーのドナルド・スターリングの人種差別発言問題をチームお結束力に変えていったリバースコーチの手腕は見事。勢いに乗って突っ張りしそうな予感さえする。

ウォリアーズも良いチームだったなあ。負けてしまうのが惜しいくらい。第6戦でケガをしてしまい、最終戦に思うように出場できなかったジャーメイン・オニールの不在も響いて力尽きた感じになってしまったけど、最後までガチでやりあってほしかったなあ。



でもやっぱりクリスポールが一枚上手だった。巧いというかずる賢いというか。個人的にはあまり好きになれないけれど「ルールの中で最良の選択をしている」というのであれば、それもまたプロのワザか。

Rockets(#4) vs Blazers(#5) : Blazers 4-2


2014/04/20 Blazers 122 @ Rockets 120 (OT)
2014/04/23 Blazers 112 @ Rockets 105
2014/04/25 Rockets 121 @ Blazers 116 (OT)
2014/04/27 Rockets 120 @ Blazers 123 (OT)
2014/04/30 Blazers 98 @ Rockets 108
2014/05/02 Rockets 98 @  Blazers 99

「調子をあげて4位と調子を落として5位の対戦。3Pを効果的に決められた方が勝つと予想」と以前書いていたけれど、ダミアン・リラードの劇的な3ポイントシュートがシリーズに幕を下ろした。


シリーズを通しては、ラマーカス・オルドリッジのモンスターっぷりはハンパなかった。ドワイト・ハワード、アシーム・オシックもなんのその。第1戦46得点、第2戦43得点、アウェーで2連勝できたのが大きかった。

ブレイザーズもバランスの取れたチームだ。選手の役割分担が決められている。82試合のレギュラーシーズンを戦ってきたカタチは、好不調の波にさらわれないのだ。ロビン・ロペスのオフェンスリバウンドへの貢献が地味に効いていたように思う。