2014/05/05

Farewell, 2014 Playoffs 1st Round.

いやあ、おもしろい。第7戦までもつれたシリーズが5つ。5点差似内が22試合。3点差似内が14試合。オーバータイムが8試合。近年稀に見る壮絶なファーストラウンド。「あのときのタイムアウトが…」「あのときのフリースローが…」「あのときのファウルが…」。一つひとつのプレーが勝敗を分ける紙一重の展開。「WIN OR GO HOME」は、TNTが掲げるプレーオフ中継のタグラインだけれど、終わってしまうのが寂しくなるくらい良い試合の多いファーストラウンドだった。

Eastern Conference

Pacers(#1) vs Hawks(#8) : Pacers 4-3

2014/04/19 Hawks 101 @ Pacers 93
2014/04/22 Hawks 85 @ Pacers 101
2014/04/24 Pacers 85 @ Hawks 98
2014/04/26 Pacers 91 @ Hawks 88
2014/04/28 Hawks 107 @ Pacers 97
2014/05/01 Pacers 95 @ Hawks 88
2014/05/03 Hawks 80 @ Pacers 92

何とかギリギリのところで勝ったペイサーズ。ホームコート・アドバンテージがなかったら、危なかったと思う。シーズン勝率5割以下のホークスにここまで苦戦するとは……と思うかも知れないけれど、史上6度目のアップセットもあり得た話。というか、できたと思う。第7戦はホークスの自滅に近かったな。3ポイント狙いすぎというか。アル・ホーフォードの離脱がなければ…と惜しまれる。

話を戻して、ペーサーズ。トレード期限終了後の戦績は、15勝13敗(2月3勝0敗、3月8勝10敗、4月4勝3敗)。ダニー・グレンジャーを放出してから、ほぼ5割の勝率。ベテランの存在って大事だったんだな。グレンジャーの代わりに加入したエバン・ターナーは、あからさまなタンキングだったとはいえ、76ersの得点源だった選手。けれど、チームは得点力不足に悩んでいる。

来季を見据えてのトレードだったかもしれないけれど、ランス・スティーブンソンとエバン・ターナーが上手くいかないだろうなあと思っていたけれど……案の定の不仲説。だってターナーは、2010年ドラフト1巡目2位指名の選手だし、スティーブンソンは2010年ドラフト2巡目40位指名の選手。意識しないはずがない。一般的な評価としては、ターナーのほうが格上。でも、チーム的にはスティーブンソンはスターターで、ターナーがベンチメンバーという妙な違和感。スティーブンソン、調子の良いときはイケイケだけど、ダメなときはからっきしなんだもん。試合を見ていてもメンタルが弱そうなのが伝わってくる。

加えて、ヒバートの不調。アンドリュー・バイナムは、どこいった? 第7戦で何かきっかけを掴んだっぽく見えたけれど、ペイサーズの黄色信号は点滅し続けている。


Heat(#2) vs Bobcats(#7) : Heat 4-0

2014/04/20 Bobcats 88 @ Heat 99
2014/04/23 Bobcats 97 @ Heat 101
2014/04/26 Heat 98 @ Bobcats 85
2014/04/28 Heat 109 @ Bobcats 98

ファーストラウンド唯一のスイープ。やっぱりヒートは強かった。終盤休みがちだったドウェイン・ウェイドも活躍したし、4連勝で休息も取れるし、BIG-3の揃ったヒートに死角はないのか。いや、そうでもない。……と感じた。失点は少ないけれど、得点も少ない。リバウンドはボブキャッツのアル・ジェファーソンとジョシュ・マクロバーツに負けているように見えた。ヒートのリバウンドリーダーはレブロンで(プレータイムの多さもあるけれど)、不安が残る。レブロン頼みの傾向は昨年、一昨年よりも強くなっている。不安があるとすれば、それだけだ。ボブキャッツはエースのアル・ジェファーソンが第2戦で足をケガしてしまい……さぞかし残念だったろう。オーナーのマイケル・ジョーダンも残念だったに違いない。


Raptors(#3) vs Nets(#6) : Nets 4-3

2014/04/19 Nets 94 @ Raptors 87
2014/04/22 Nets 95 @ Raptors 100
2014/04/25 Raptors 98 @ Nets 102
2014/04/27 Raptors 87 @ Nets 79
2014/04/30 Nets 113 @ Raptors 115
2014/05/02 Raptors 83 @ Nets 97
2014/05/04 Nets 104 @ Raptors 103

チーム改革に成功して第3シードに躍進したラプターズと、前半の不調&ブルック・ロペスの離脱を乗り越えて第6シードになったネッツ。レギュラーシーズン直接対決2勝2敗の両チームはどの試合も接戦で、イーストで一番盛り上がったシリーズかも。エア・カナダ・センターの場外すごかったなあ。ネッツはジョー・ジョンソンのミスマッチを利用したワン・オン・ワンとデロン・ウィリアムズのドライブ。ラプターズはカイル・ロウリーのドライブとデマー・デローザンのワン・オン・ワン。分かっているけど、止められない。オフェンスのオプションを多く持っていたネッツのほうが、結果的に「状況に対応できた」ことになり、僅差で勝利を手にした。ピアースの働きは、セルティクス時代のそれとは全然違う地味な役回りだったけれど、さすがに"The Truth"、いぶし銀な活躍に救われた。


Bulls(#4) vs Wizards(#5) : Wizards 4-1

2014/04/20 Wizards 102 @ Bulls 93
2014/04/22 Wizards 101 @ Bulls 99 (OT)
2014/04/25 Bulls 100 @ Wizards 97
2014/04/27 Bulls 89 @ Wizards 98
2014/04/29 Wizards 75 @ Bulls 69

シーズン前の優勝予想は、実はブルズだった。でもそれはデリック・ローズが完全復活する前提。ローズが再度故障して、ルオル・デンがトレードに出され……「最早これまでか」と思ったけれど、そこはブルズ。リーグ2位のディフェンス力と拾ってきたD.J. オーガスティン(チーム得点王)の活躍もあって、リーグ27位のオフェンス力&層の薄すぎるベンチながらレギュラー・シーズンをイースト4位で乗り切った。

……と、ぼくらは往々にしてブルズを主語にして語りがちなのだ。どのチームにだってケガ人はいる。称えるべきは勝ったウィザーズ。ジョン・ウォールとブラッドリー・ビールの破壊力あるバックコートに注目が集まるけれど、実はウィザーズもディフェンス力で勝ってきたチーム。トレバー・アリーザ、ネネ、マーチン・ゴータットのフロントコート陣は、ディフェンス力だけでなくオフェンス力もある。リーグ9位のディフェンスと、リーグ16位のオフェンス。なかなかのバランスの良さ。

攻守のバランスだけではなく、若手とベテランのバランスも良い。ウォールとビールが初めてのプレーオフでも、優勝リングを持っているアリーザ、ファイナル経験者のゴータット、ナゲッツ時代に毎年のように出場していたネネのほか、15年目のアンドレ・ミラー、アル・ハリントン、ドリュー・グッデン……。厚くはないけど、薄くもないベンチメンバー。

ウィザーズが得意とするのはシューティングゲーム。1試合あたりのミッドレンジシュート数がリーグ1位というデータもある。確率は良くないけれども。ペイント内にDPOYのジョアキム・ノアがいても、いつもどおりのゲームプランで臨めるのだ。シードの順位は違えど、順当と言える勝利だったと思う。



Western Conference


Spurs(#1) vs Mavericks(#8) : Spurs 4-3

2014/04/20 Mavericks 85 @ Spurs 90
2014/04/23 Mavericks 113 @ Spurs 92
2014/04/26 Spurs 108 @ Mavericks 109
2014/04/28 Spurs 93 @ Mavericks 89
2014/04/30 Mavericks 103 @ Spurs 109
2014/05/02 Spurs 111 @ Mavericks 113
2014/05/04 Mavericks 96 @ Spurs 119

スパーズがターンオーバーで自滅した試合もあったけれど、マブスのがんばりがすごかった。やっぱいいチームだなあ、マブス。レギュラーシーズンの直接対決でスパーズが4勝0敗だったなんて思えない拮抗した試合展開。

調子を落としていたとはいえダーク・ノビツキーの存在感は抜群で。モンテ・エリス、ショーン・マリオン、サミュエル・ダレンベア、ビンス・カーター、ブランドン・ライト、デビン・ハリス、ホセ・カルデロン、デジャン・ブレア……良い選手がいっぱいだ。しかもヘッドコーチのリック・カーライルが実戦した「スパーズ攻略法」がズバリ的中。ゾーン気味のディフェンスで、スクリーンプレーからのオープンルックスを作らせず、スパーズが得意とするパッシングゲームをさせなかった。

長所を消されたスパーズは、ダンカン、ジノビリ、パーカーの個人技で何とかマブスのディフェンスをこじ開ける苦しい戦い。やっと「らしさ」が出せた第7戦、序盤からパーカーがエンジン全開。ディフェンスをかき回し、アウトナンバーが出てきて……といつものスパーズの戦いができた。


Thunder(#2) vs Grizzles(#7) : Thunder 4-3

2014/04/19 Grizzlies 86 @ Thunder 100
2014/04/21 Grizzlies 111 @ Thunder 105 (OT)
2014/04/24 Thunder 95 @ Grizzlies 98 (OT)
2014/04/26 Thunder 92 @ Grizzlies 89 (OT)
2014/04/29 Grizzlies 100 @ Thunder 99 (OT)
2014/05/01 Thunder 104 @ Grizzlies 84
2014/05/03 Grizzlies 109 @ Thunder 120

4試合連続のオーバータイム。デュラントが不調の試合は落としているし、3ポイントの確率がいい試合はグリズリーズが取っているし。トランジションゲームか、ハーフコートバスケットか。自分たちのペースで試合を進めたチームが勝っているのも面白いところ。マイク・コンリー、良い選手だわ。ザック・ランドルフの第7戦出場停止が痛すぎ。サンダーのスティーブン・アダムスにとって、ザックを出場停止に追いやったことは、今シーズン1番の大仕事だったと思う。ちなみに、2番目の大仕事はスパーズのクワイ・レナードの薬指をへし折ったことだと思う。


Clippers(#3) vs Warriors(#6) : Clippers 4-3

2014/04/19 Warriors 109 @ Clippers 105
2014/04/21 Warriors 98 @ Clippers 138
2014/04/24 Clippers 98 @ Warriors 96
2014/04/27 Clippers 97 @ Warriors 118
2014/04/29 Warriors 103 @ Clippers 113
2014/05/01 Clippers 99 @ Warriors 100
2014/05/03 Warriors 121 @ Clippers 126

壮絶な打ち合い、そして、削り合い。これぞプレーオフ。アンドリュー・ボガットの肋骨骨折離脱でインサイドが手薄になるなか、デビッド・リー、ドレイモンド・グリーン、ジャーメイン・オニール、マリース・スペイツらがクリッパーズのブレイク・グリフィン、デアンドレ・ジョーダンらと対抗。両チームともファウルトラブルに悩まされるシリーズ。名ポイントガードが両ヘッドコーチの采配も見ごたえあった。ウォリアーズのマーク・ジャクソンがヒルトン・アームストロングにハック・ア・ジョーダンを仕掛けさせるも、ドック・リバースは一歩も引かず、ハック・ア・アームストロング返しをお見舞いするシーンも。

クリッパーズオーナーのドナルド・スターリングの人種差別発言問題をチームお結束力に変えていったリバースコーチの手腕は見事。勢いに乗って突っ張りしそうな予感さえする。

ウォリアーズも良いチームだったなあ。負けてしまうのが惜しいくらい。第6戦でケガをしてしまい、最終戦に思うように出場できなかったジャーメイン・オニールの不在も響いて力尽きた感じになってしまったけど、最後までガチでやりあってほしかったなあ。



でもやっぱりクリスポールが一枚上手だった。巧いというかずる賢いというか。個人的にはあまり好きになれないけれど「ルールの中で最良の選択をしている」というのであれば、それもまたプロのワザか。

Rockets(#4) vs Blazers(#5) : Blazers 4-2


2014/04/20 Blazers 122 @ Rockets 120 (OT)
2014/04/23 Blazers 112 @ Rockets 105
2014/04/25 Rockets 121 @ Blazers 116 (OT)
2014/04/27 Rockets 120 @ Blazers 123 (OT)
2014/04/30 Blazers 98 @ Rockets 108
2014/05/02 Rockets 98 @  Blazers 99

「調子をあげて4位と調子を落として5位の対戦。3Pを効果的に決められた方が勝つと予想」と以前書いていたけれど、ダミアン・リラードの劇的な3ポイントシュートがシリーズに幕を下ろした。


シリーズを通しては、ラマーカス・オルドリッジのモンスターっぷりはハンパなかった。ドワイト・ハワード、アシーム・オシックもなんのその。第1戦46得点、第2戦43得点、アウェーで2連勝できたのが大きかった。

ブレイザーズもバランスの取れたチームだ。選手の役割分担が決められている。82試合のレギュラーシーズンを戦ってきたカタチは、好不調の波にさらわれないのだ。ロビン・ロペスのオフェンスリバウンドへの貢献が地味に効いていたように思う。


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