2014/03/31

Who the West's No. 8 Seed ?

勝率5割でもプレーオフ進出が難しいウェスタン・カンファレンス。レギュラーシーズンも残す数試合。5〜8位争いが俄然おもしろい。許されるなら5チームすべて連れていきたいんですけど。

現地3月30日終了時の順位表。NBA.com 日本語版より

残り試合数(現地3月30日現在)


POR
(48-27)
GSW
(45-28)
PHX
(44-30)
DAL
(44-30)
MEM
(43-30)
3/31----@ DEN
4/1@ LAL@ DAL-vs GSW-
4/2-@ SASvs LAC-@ MIN
4/3-----
4/4vs PHXvs SAC@ POR@ LALvs DEN
4/5-----
4/6vs NOPvs UTAvs OKC@ SAC@ SAS
4/7-----
4/8---@ UTA-
4/9vs SAC-@ NOP-vs MIA
4/10-vs DEN-vs SAS-
4/11@ UTA@ LAL@ SAS-vs PHI
4/12--@ DALvs PHX-
4/13vs GSW@ POR--@ LAL
4/14-vs MINvs MEM-@ PHX
4/15-----
4/16vs LAC@ DEN@ SAC@ MEMvs DAL
試合数
(H/A)
7
(2/5)
9
(5/4)
8
(5/3)
7
(4/3)
9
(5/4)
upper
.500
3
(0/3)
4
(3/1)
7
(3/4)
4
(1/3)
5
(3/2)
Div1
(1/0)
2
(1/1)
2
(1/1)
2
(1/1)
2
(1/1)

日程と対戦相手に恵まれているのは、ブレイザーズとグリズリーズか。サンズは厳しい日程。ウォリアーズは連戦&ケガ人が不安。

PORの日程

連戦がない。勝率5割以上のチームと3試合(自チームより勝率が高いのは、クリッパーズのみ)。アウェーが5試合、ホームが2試合。今シーズンはホーム27W-9L、アウェー21W-18L。アウェーでの取りこぼしを防げるかが肝。
勝率どおりにいくと、6勝1敗。ケガから戻ったオルドリッジが大丈夫なら問題なし。
まずは相性の悪いステープル・センターをどう乗り切るか。

GSWの日程

2連戦が3回ある。勝率5割以上のチームと4試合(自チームより勝率が高いのは、スパーズとブレイザーズの2チーム)。ホームで5試合できる。不安材料は、ケガ。アンドリュー・ボガットとデビッド・リーは数試合逃しそう。リーは早く戻れそうだけど、ボガットは長引くんじゃないか的な話も。あと、病み上がりイギーの負担が減らせるかとか。
勝率どおりにいくと、7勝2敗。ケガ人が影響しそうだなあ。

PHXの日程

連戦が1回。勝率5割以上のチームと7試合(自チームより勝率が高いのは、クリッパーズ、ブレイザーズ、サンダー、スパーズの4チーム)。ホームで5試合できる。次の3試合(クリッパーズ、ブレイザーズ、サンダー)で3連勝できなければ、かなり厳しい。
勝率どおりにいくと、4勝4敗 or 3勝5敗。ホーム5戦すべて勝つ勢いで盛り上げてほしい。

DALの日程

連戦がない。勝率5割以上のチームと4試合(自チームより勝率が高いのは、ウォリアーズ、スパーズ、サンズの3チーム)。ホームで4試合。アウェーのレイカーズ、キングス、ジャズで3連勝してホームに戻りたいところ。
勝率どおりにいくと、4勝3敗 or 3勝4敗。ホームでのスパーズ戦、サンズ戦をどう乗り切るか。シーズン最終戦、メンフィスでのアウェーゲームで決まる、なんてドラマもあるのかしら。

MEMの日程

連戦が1回。勝率5割以上のチームと5試合(自チームより勝率が高いのは、スパーズ、ヒート、サンズ、マブスの4チーム)。ホームで5試合できる。シーズン最終戦はホームでマブスとの直接対決。もともとグリズリーズがこの位置に沈んでいるのは、ガソルの離脱が主な原因(ガソルなし 10勝13敗、ガソルあり 33勝17敗)。実力的には問題ないはずだが…どうなるか。
勝率どおりにいくと、5勝4敗。

直接対決結果と残り試合(現地3月30日現在)


POR
(Northwest)
GSW
(Pacific)
PHX
(Pacific)
DAL
(Southwest)
MEM
(Southwest)
POR-2-1(1)2-1(1)2-12-1
GSW1-2(1)-2-21-2(1)2-2
PHX1-2(1)2-2-1-1(1)3-0
DAL1-22-1(1)1-1(1)-0-3(1)
MEM1-22-20-33-0(1)-

PORのタイブレイカー

vs GSW:残りの直接対決による(POR 2-2→POR*、POR 1-3→GSW)
vs PHX:残りの直接対決による(POR 2-2→POR*、POR 1-3→PHX)
vs DAL:DAL
vs MEM:MEM
PORのディビジョン成績が現在12W-3L(ディビジョン2位濃厚)、ディビジョン成績を越えられない。

GSWのタイブレイカー

vs POR:残りの直接対決による(GSW 3-1→GSW、GSW 2-2→POR*)
vs PHX:ディビジョン成績による**(現在 GSW 9W-5L、PHX 7W-7L)
vs DAL:残りの直接対決による(GSW 3-1→GSW、GSW 2-2→Div成績による***)
vs MEM:GSW****
* PORのディビジョン成績が現在12W-3L(ディビジョン2位濃厚)、ディビジョン成績を越えられない。
** ディビジョン内対戦がともに2戦ずつあり、成績上位チームが勝ち抜け。
*** GSWのディビジョン成績が現在 9W-5L、DALは現在 9W-5L。成績上位チームが勝ち抜け。
**** GSWのディビジョン成績が現在 9W-5L、MEMは現在 3W-11L。MEMが追い越すことはできない。

PHXのタイブレイカー

vs POR:残りの直接対決による(PHX 3-1→PHX、PHX 2-2→POR*)
vs GSW :ディビジョン成績による**(現在 GSW 9W-5L、PHX 7W-7L)
vs DAL:残りの直接対決による(PHX 2-1→PHX、PHX 1-2→DAL)
vs MEM:MEN
PORのディビジョン成績が現在12W-3L(ディビジョン2位濃厚)、PHXが追い越すことはできない。
** ディビジョン内対戦がともに2戦ずつあり、成績上位チームが勝ち抜け。

DALのタイブレイカー

vs POR:DAL
vs GSW:残りの直接対決による(DAL 1-3→GSW、DAL 2-2→Div成績による***)
vs PHX:残りの直接対決による(DAL 2-1→DAL、DAL 1-2→PHX)
vs MEM:DAL
*** GSWのディビジョン成績が現在 9W-5L、DALは現在 9W-5L。成績上位チームが勝ち抜け。

MEMのタイブレイカー

vs POR:MEM
vs GSW:GSW***
vs PHX:MEM
vs DAL:DAL
*** GSWのディビジョン成績が現在 9W-5L、MEM 3W-11LでMEMが追い越すことはできない。

タイブレイカー基準について(NBA.com 日本語版)


2014/03/30

2014/3/29 Today's numbers

2014/3/29 Pistons 98 @ 76ers 123

26
76ers、1月29日以来の勝利。結果的には大差になったけど、ジェニングスが退場していなかったらどうなっていたか……と個人的には思ったり。ともあれ、長かった連敗もようやく終了。26連敗は、2010-11シーズンにキャブズが記録したNBA連敗記録タイであり、アメリカ4大スポーツの連敗記録でもあるとのこと。不名誉な記録を更新しなくてすみました。


2014/3/29 Clippers 118 @ Rockets 107

2.0
51勝22敗のクリッパーズと、49勝22敗のロケッツ。ウェスタン・カンファレンス3位争いを続ける両者がゲーム差1.0で迎えた直接対決。ホームのロケッツは、センターのドワイト・ハワード(左足首のケガ)と、ポイントガードのパトリック・ビバリー(右膝半月板損傷)のスターター2人が欠場。その影響はかなり大きく……。それぞれマッチアップすると思われたクリッパーズのセンター、デアンドレ・ジョーダンが20得点、12リバウンド、ポイントガードのクリス・ポールが30得点、12アシストの大活躍。ジェームズ・ハーデンの32得点&チャンドラー・パーソンズの28得点も及ばず、ゲーム差は2.0に。
ビバリーのケガは精密検査の結果によって、プレーオフに影響するかもとのこと。メンバーが揃ってきて優勝争いに絡んできそうだっただけに心配。

2014/3/29 Hawks 97 @ Wizards 101

1
この日の勝利でウィザーズのプレーオフ進出マジックが1に。現地30日のNYK@GSWでニックスが負けたら2008年以来のプレーオフ進出が決まる。ジョン・ウォール25得点、6アシスト、7リバウンド(OR 2、DR 5)、3スティールでチームを牽引。

2014/3/29 Kings 100 @ Mavericks 103

20
最大17点のリードを4Q終盤に逆転されるも何とか勝ちきったマブス。ホント、ギリギリ。残り6.8秒、3点リードの場面でモンテ・エリスがまさかのフリースロー2本連続ミスするも、キングスの同点を狙った3Pも外れて試合終了。キングスのアイザイア・トーマスが出場していれば、もしかしたら……。ともあれ、2003/2/27以来、ホームでのキングス戦20連勝達成。プレーオフ争いに踏みとどまった。
最近はサミュエル・ダレンベアが得点面でも貢献していて。パスが良く回っているのが目立つ。この日マブスのチームアシストは28。

2014/3/29 Heat 88 @ Bucks 67

13
なかなかないロースコア。バックスは前半1Q 12得点、2Q 17得点で前半29得点。ゲームハイはバックスのラモン・セッションズの15得点。レブロン・ジェームズの13得点はシーズン最低タイだとか。

2014/3/29 Pelicans 80 @ Spurs 96

58.3
ダンカン&ポポビッチ時代で最長となる17連勝達成。次戦、18連勝をかけてイースト1位、ペイサーズのホームに乗り込む。果たして…。
今シーズンの3Pコンテスト・チャンピオンのマルコ・ベリネリがこの試合も3Pシュート5本中4本成功を含む18得点でチームを牽引。この試合を含む直近5試合で、3Pシュート24本中14本成功の58.3%。ダニー・グリーン(足のケガ)の穴を埋める……どころかスターターを奪う勢い。ペリカンズのアンソニー・デイビスは左足首のケガで不出場。

2014/03/29

2014/3/28 SAS @ DEN

2014/3/28 Spurs 133 @ Nuggets 102
プレーオフ進出が完全に消滅してから最初の試合。15連勝でノリノリのスパーズ相手にやれんのか? 2日前の借りを返せるのんか? 戦えんのか?

2014/3/28 SAS @ DEN Score ©NBA Entities
2014/3/28 SAS @ DEN Score ©NBA Entities
だがしかし。シーズンハイの133得点で16連勝を決められるという…「これでもか!」なフルボッコ。ハイライトはこちら

試合内容はスタッツのとおり。タフショットでもきっちり沈めるスパーズと、イージーショットをけっこう外すナゲッツ(ダンクのミスが4本も!)。シュート確率が違いすぎた。

1Q残り3分を切ってからベリネリに3Pを4本決められ…。あれよあれよと8点ビハインド。手が付けられん。

2Q途中から大味なトランジション・オフェンスに。アウトサイドショットが決まらないもんだから、ドライブインからの「あわせ」やピック&ロールを試みるも、ダブルチームで潰されて終わりとか。スパーズは相変わらずパスが良く回る。エクストラパスの意識も高い。チーム平均アシスト25.5(リーグ1位)を12も上回る37アシスト。さすがです。

4Qにはナゲッツファンも帰ってしまい、遠征してきたスパーズファンは最後まで観戦しているもんだから、スパーズのプレーに沸き起こる歓声も丸聞こえで……どっちがホームチームなんだか……、どちらのチームも好きだけど、見ていてあまり気分の良い試合ではなかったなあ。

さぁさぁ、インサート情報でも。

2011年ドラフト組のレナードとファリード。ポジションこそ違えど、ともに2014-2016 アメリカ代表候補に名を連ね、チームの将来を託されつつあるスター候補プレーヤー。あたいも応援しております。

Kawhi Fly High

指の骨折から戻ってきてから調子がいいじゃん!って。ここには出ていないけど、1試合平均1.7スティールは、チームトップ。15点近く稼ぐエースキラーって、ス・テ・キ。

Kawhi Fly High ©NBA Entities 


March Of The MAMIMAL

今月のファリードは、他のどのひと月よりも調子が良い。これまで調子が出なかったのはトレードの噂に悩まされていたから……みたいな話もあって、実はプレイスタイルからは想像できないくらい繊細で純朴な子なのかもしれんぞと。NBAには珍しくタトゥーを入れていないみたいだし。
March Of The MANIMAL ©NBA Entities
March Of The MANIMAL ©NBA Entities


 Spurs Mainstay 

 コーチ・ポップの輝かしい功績。歴代9位の960勝、歴代最多15年連続50勝到達、17年連続プレーオフ進出記録更新中、1つのチームを18年連続で指揮(4大スポーツ最長)。

Spurs Mainstay ©NBA Entities
Spurs Mainstay ©NBA Entities


 "D" In The Pop Era

1996-97シーズン以降(ポポビッチ政権)の1試合平均失点比較。91.8でぶっちぎり。

"D" In The Pop Era ©NBA Entities
"D" In The Pop Era ©NBA Entities


2014/03/25

Fear The Beard

2014/3/24 Rockets 100 @ Bobcats 89
ジェームス・ハーデンにとってボブキャッツは、サンダー時代も含めて負けたことがない相手なんだとか。ハイライトはこちら


序盤のハンマーダンクを含む31得点、5アシストの活躍でチームの4勝利に貢献。ウェスタン・カンファレンス3位、クリッパーズとのゲーム差は1.5。現地29日の直接対決次第では「ある」かもしれん。ウエストは6〜8位争いも面白いけれど、3位争いも面白くなってきた。

この試合を含む直近3試合のスタッツがすごい!とのことで引用。ひげ、恐るべし。

Fear the beard 2014/3/24 ©NBA Entities

2014/03/24

Andre Miller at Pepsi Center

2014/3/23 Wizards 102 @ Nuggets 105
アンドレ・ミラー、ペプシセンターに見参。かれこれ元日のシクサーズ戦以来。でも、あぁ…。今はもう違うユニフォーム。1Q終盤いよいよ出場か!?……という場面でブライアン・ショーと二言三言(握手? エール交換?)言葉を交わし……ていいる間に1Q残り時間がほとんどなくなりいったんベンチへ。出場は2Qの最初から。ナゲッツファンはどんな反応をするのか興味津々だったけど、ブーイングも喝采もあがらず、至ってフツーな反応…。

Brian Shaw and Andre Miller
Shaw and Andre Miller ©Altitude TV ©NBA Entities

Brian Shaw and Andre Miller
Shaw and Andre Miller ©Altitude TV ©NBA Entities

というか、ブーイングするにも、拍手をするにも「ホントのトコロ」が分からなすぎて態度を決めかねていたファンも多いと思う。それよりもローソンVSウォールの「速いのはどっちだ対決」が気になるし。実際、やりあっていて面白かったし。

以下、時系列通りではないけれど。今回の騒動について思ったこと。

A・ミラーにとっては、良い移籍だったと思う。

Andre The Great - celebration infographic the 8th player 15,000 points & 7,500 assists in NBA history
アンドレ・ミラーは、
15,000得点、7,500アシストを記録した
NBA史上8人目の選手。
©Denver Nuggets
見方によってさまざまだとは思う。デンバーに家を持っていたアンドレ・ミラーは、ナゲッツで現役を終えようとしていただろうに。ナゲッツのファンとしては、チームに残ってほしかったとも思うし、残るべきだったなと。選手とコーチの衝突なんて、ないほうが良いに決まってる。一方、彼のファンとしては移籍は正解だったと思う。キングスでもなく、ウォリアーズでもなく、ティンバーウルブスでもなく、ウィザーズで良かった。時間はかかったけれど。プレイオフを深く進むことを目標にしている若いチームへの移籍は、長年チームを支えてきてくれた功労者への敬意も感じられる。

ただ、あの『衝突』も「チームのことを思って」のことじゃないかと、勝手に想像するわけで。真相は違うもかもしれないけれど。


あの『衝突』……の前に、おさらい。

オフシーズンにナゲッツのフロントが変わった。マサイ・ウジリさんのトロント復帰による退任とジョージ・カールHCの更迭。コーチ更迭については、「スーパースターがいないチームを毎年のようにプレーオフに導き(*1)、コーチ・オブ・ザ・イヤー(*2)を獲得したばかりのコーチを更迭だなんて!」という反対派(?)と、「おいおい何回プレーオフ1回戦敗退すればいいのさ。カールのシステムじゃあプレーオフで勝てんぞ!」という賛成派(?)と、ファンの間でも意見が分かれていたみたい。

ともあれ、新GMにティム・コネリーさん(当時36歳)、新ヘッドコーチにブライアン・ショーさん(当時47歳)を迎え、フロントの若返りが図られた。選手として、アシスタント・コーチとして5つのチャンピオンリングを持つショーさんには「プレーオフで勝てるチーム」と「若手の育成」が求められたのは、想像に難くなく。

*1 : 任期中の9年間を含む10年連続プレーオフ進出。レイカーズでも10年連続は記録していない。

*2 : 2012-13シーズンに球団記録の57勝25敗を達成。ホーム38勝3敗はリーグ最高。


ジョージ・カールのシステム。

簡単に言うと、イケイケのトランジション・オフェンス。隙があれば速攻を仕掛け、チャンスがあれば皆がシュート打つというスタイル。標高の高いデンバー(*3)の地の利を生かしたアップテンポな試合展開。とにかく走る全員バスケ。Mile High Magic、Mile High Advantage なんてフレーズもしっくりくる。

ジョージ・カールさんは試合に勝つために、ベテランの力に頼るところもあった。勝ちに重きを置いた采配で、球団オーナーから「若手の育成に力を入れてくれ」的な注文(*4)もあったけれど、それじゃあ勝てないからとスルーしていたことも更迭の要因になったのでは、という説もあったり、なかったり。

アンドレ・ミラーもジョージ・カールさんのシステムで重宝されていた選手。勝負所で試合に出ては、流れを変えたり、さらに勢いづけたり。地味ながら良い仕事をするんだな、これが。4Q終盤に出てきて試合を閉じることも多く、信頼度抜群という感だった。
2012-13シーズンは、2番手PGとして1試合平均26.2分出場。

*3 : ロッキー山脈のふもとにあるコロラド州の州都。スポーツ選手が高地トレーニングで訪れるボルダーも同じコロラド州の街。MLBコロラド・ロッキーズの本拠地クアーズ・フィールドは標高が高くて打球が良く飛ぶ、ホームランの出やすい球場としても知られているかどうかは、あなた次第。まあ、NBAのトップアスリートでも、標高の高さカラダが慣れていなければバテやすくなるわけで。
*4 : ワシントン・ウィザーズからトレードで加入したジャベル・マギーのプレイタイムが少なかったり、勝負所でベテランばかり起用したり。


ブライアン・ショーのシステム。

変わったのは、ディフェンスの意識と、ハーフコートの意識。「Smash-Mouse Basketball」をキーワードに挙げて、インサイドで相手とゴリゴリやり合うスタイルを目指すという。開幕当初は特に、アップテンポな試合展開は鳴りを潜め……。上手くいってもいかなくても、スクリーンプレーを攻撃の起点にするようになった。ピック&ロールからのインサイドアタック(あるいは、ドライブイン)……からのキックアウトとか。たまにピック&ポップとか。

ハーフコート・オフェンスが噛み合わなくても続けていたのは、「長期的な視野でチームの文化をつくっていこう」という意図があったからだろう。3年契約の1年目だし。ただ、走れるビッグマンが多いだけに勿体ないような気も個人的にはしていた。若手メンバーのプレイタイム増加と反比例するように、ミラーの1試合平均19.0分にまで減っていく…。

Nuggets 2013-14 Campaign with 3-PG
Nuggets 2013-14 Campaign with 3-PG

ショーのシステムがチームにハマっているのか、いないのか、判断しかねる序盤の連敗&連勝。11人ローテーションを試したり、9人ローテーションを試したり。スクリーンプレーのディフェンスをスイッチディフェンスにしたり、ファイトオーバーにしたり。なかなか「カタチ」が見つからない間に、ミラーの『衝突』や主力の離脱が続き……現実路線で勝てる戦術、選手自身がやりやすいスタイルに譲歩していったように感じる。

現在のシステムが本来目指していたシステムなのか疑問が残っている。苦しすぎる台所事情に対処していく中で最善の戦術を採用しているのでは、と。要するに、不測の事態が多すぎて、純粋にシステムを評価するには材料が足りないのだ。


ナゲッツのポイントガード事情。

タイ・ローソン、ネイト・ロビンソン、アンドレ・ミラーの3人体制で開幕を迎えたが、1月1日にミラーを失い、1月29日にネイトを失い(シーズン全休となる前十字靱帯の負傷)、2月8日にローソンを失う(肋骨骨折で9試合の戦線離脱)。ローソン離脱中はチームにPGがいない状況に。ありえん。フォイとフォーニエが代役を務めるも1勝8敗。なんとかこなしているものの、PGとしてゲームを支配することはできなかった。

ガード出身のショーは、そのポジションの重要性を熟知しているはず。噂はいろいろ出たけれどミラーのトレードはなかなかまとまらず…。結局トレード期限終了日にジョーダン・ハミルトンをトレードに出してアーロン・ブルックスを獲得することに。
あぁ、JHam…。ロケッツでプレイタイムを増やしているようで、それはそれでおじさん嬉しいよ。


2014年初日、シクサーズ戦。

今思えば11月後半の7連勝が出来すぎだったのかもしれない。選手のプレースタイルにあっていない(ように見える)ハーフコート中心の戦術で勝ててしまったから。その反動が12月中旬にやってくる。7連敗なんて、2002-03シーズンの8連敗以来の最長連敗記録だ。なんてこったい。しかも7敗目はリーグ最下位候補のシクサーズにロード3勝目を献上するという…。ディフェンス・ローテーション、崩壊したい放題。内から外からお気に召すまま。1Q 24失点 2Q 44失点の前半68失点。シクサーズの前半68得点&ひとつのクォーターで44得点は、当時のシーズンハイ。ハイライトはこちらにも



タイムアウトで、あの『衝突』。

散々な試合展開だったからなのか、どうなのか。82試合の長いシーズンでは、点差が開いて試合結果が見えると若手を出場させて経験を積ませる采配が見られることがある。この試合は3Q終了時で14点のビハインド。逆転するにはなかなか厳しい得点差。実力も実績も劣る若手が試合に出ている中、ミラーはベンチに座りっぱなし。

パスを上手く回せない、シュートセレクションが良くない、不要なファウルをする、ディフェンスは振り回されっぱなし……。

ミラーもきっと「自分が出たほうがまだマシだ」と思ったに違いない。想像だけど。「コートに出られずベンチに座って見ているだけ」だった彼の心情を慮ると……ララララララ……言葉にならない。

4Q残り5:33、ナゲッツのタイムアウト。ベンチの前でアンドレ・ミラーがアシスタントコーチたちに激しい口調で何か言っている。映像にも残ってるんだからね!←誰?


結局、この試合ミラーは最後までコートに出ることはなく…。ベンチ入りした13選手の中で唯一の、そして彼のキャリアで初めてのDNP-CD(Did Not Play-Coach's Decision)。239試合連続出場記録が途切れてしまった。


IMO:結局「リーダーは誰なんだ」問題なのでは。

「衝突」の原因は「プレイタイムのことで不満を持っていた」という報道があったけれど、自分の役割を知っているベテランがプレイタイムのことだけであそこまで炸裂するだろうか。チームも2試合のチーム活動停止処分&トレード意思表明するだろうか。

「プレイタイムのことで不満を持っていた」ということは、選手の起用方法だけでなく、チームのシステムや戦術にも不満を持っていても不思議ではないわけで。「こんなハーフコート・バスケットじゃ勝てねえよ!」くらい言っている可能性も十分考えられるわけで。もちろん、勝手な想像だけれど。

次の試合からアップテンポのバスケが戻ってきたことを考えると、ミラーの噴火が戦術を選手にアジャストさせるきっかけになったと考えるのがフツーなわけで。


ショーコーチのインタビュー。すべての選手をコーチするのが自分の仕事。どの選手にもコートでプレイするチャンス与えたい。だから、プレイタイムが少なくなることもある。自分はミラーが(NCAAトーナメントで準優勝した)ユタ大学の選手だったころからのファンだったから、とても残念。でも我々は前に進まなければならない、とのこと。たぶん、英訳不十分。ショーの言い分は至極もっとも。

1年目コーチにとっては、ロッカールームからピザを排除したように、ショー体制の規律や文化をつくっていくことも大事な仕事になってくる。

チーム唯一の30代で在籍年数が一番長い多い「鉄人」の発言は、若い選手にとって尊重すべきものだっとと思う。ショーの現役時代と比べても、個人スタッツはミラーのほうがはるかに上だし。もし両者からプレイに関するアドバイスがあったら、そして両者のアドバイスが食い違っていたら……、若い選手はどちらの意見がより参考になると考えるだろう。

チームの結束力を強くするために、チーム全体が同じ方向を向くために、ミラーとナゲッツは別の道を進まなければいけなかったんだと思う。違うタイミングで出会っていたら、違う結果になっただろうけど。
それが僕の出した結論。

おまけ。

「アンドレ・ミラーのトレード先はどこがいいと思う?」というThe Starterの議論。ウィザーズで良かったよ。ウォールとビールはサポートしがいあると思う。プレースタイルも全然違うし、面白いチームになりそう……というか、既に心奪われてよ!ネネも居るし。



こちらもどうですか。なんとなく。



DA Stretch 4

2014/3/23 Wizards 102 @ Nuggets 105
ウィザーズの4試合ロードの4戦目。ペプシセンターで迎え撃つナゲッツ。ネネの離脱以降、好調を維持していたけれど、この日は最大14点のリードを守り切れずに自滅。チームのターンオーバーが24(うち8つがウォール)もあれば、ウィットマンコーチの怒りも当然で。ナゲッツのディフェンスが頑張ったから……という言い方もできるけれど、ウィザーズのフィールドゴール成功率が48.2%(2Pは52.2%、3Pは31.3%)とまずまずなのとフィールドゴール成功数が上回っているので、それも何とも言えない微妙な感じで……。
ナゲッツがMile High Magicに助けられた試合でした。ハイライトはこちら

TEAM1Q2Q3Q4QTOTALFGM-A3PM-AFTM-A
WAS2920242910241-85
(48.2%)
5-16
(31.3%)
15-18
(83.3%)
DEN2126302810540-91
(44.0%)
11-27
(40.7%)
14-18
(77.8%)

ナゲッツの勝因は、試合の流れの良い場面で3Pシュートが効果的に決まったこと。3Qに逆転したのはフォイの3P、4Q中盤に最大リードとなる7点差にしたはアーサーの3P。ブルックス、クインシー・ミラーの4Q良いところで決められたし。

そうなんです。最近は、ダレル・アーサーが3Pを打つようになって、これがなかなか良く決まる。2008年から昨シーズンまでで3Pシュートを27本しか打っていなかった選手が、今シーズンだけですでに25本。成功率48%って、スペシャリスト並みの高確率。もともとピック&ポップでペリメーターのジャンプシュートが上手な選手だったけれど、さらにシュートエリアを広げています。本人にとっても、チームにとっても大きな武器になるはず。

DA 3-point Shooting ©Altitude TV ©NBA Entities
というのも、ナゲッツのビッグマンはジャンプシュートが得意ではなく…。「ピック&ロールからのダンクならオレに任せろ☆」みたいな素直な(?)選手が多い。少なくとも「見よ! この芸術的なスピンムーブを!」というタイプではない。身体能力が高いから1対1ならなんとかいけるけど、ヘルプが来たら潰される……は、ナゲッツあるある。

ビッグマンに得点を取らせようとしたら、どうしてもリングの近くでボールを持たせる必要があるわけで。ボールを受け取るためにペイントエリアでポジション取りすると、エリアが密集して他の選手がドライブインしづらくなるし、リングの近くじゃないところでポジション取りしていても「こいつにアウトサードシュートはない」と思われたら、コートを広く使えないし。

アーサーがストレッチ4として機能すると、攻撃パターンが増えて面白いなあと。ファリードがC、アーサーがPF、フォーニエがSFという時間帯があったけれど、個人的にはけっこうナイスな組み合わせだと思ったりします。ディフェンスのことは置いといて。

Trevor Ariza Art Of The Fadeaway

2014/3/23 Wizards 102 @ Nuggets 105
前半終了間際のアリーザの見事なフェーダウェイ。この日のアリーザは18得点(前半17得点、後半わずか1得点)。

http://www.nba.com/video/games/nuggets/2014/03/23/0021301042-was-den-play5.nba/

Force Rap's 4th

2014/3/23 Hawks 86 @ Raptors 96
イースタン・カンファレンス3位をキープしているトロント・ラプターズ。エア・カナダ・センターで今シーズン最後のアトランタ・ホークス戦は、なかなか見られない逆転劇。

TEAM 1Q 2Q 3Q 4Q TOTAL
ATL 25 24 22 15 86
TOR 16 26 18 36 96

3Q終了時点で11点ビハインドだったのに、終わってみれば10点差。まさに、だい!どん・でん・がえし(©石橋さん)。互いにホームで勝って、シーズン直接対決2勝2敗となりました。ハイライトはこちら

1Q、ラプターズのアウトサイドシュートがぜんぜん決まらず、点差も離れ……。「おやおやトロントさん、大丈夫ですかー?」と、思わず途中下車しそうな展開(←どんな状況だ)だったのに。今シーズン好調の秘訣は、4Qの勝負強さにあるんだぜ!? とのインサート情報。OKCとの壮絶なOTもそうだったなあ。納得。

Raptors's 4th Quarter Success
Raptors's 4th Quarter Success ©SPORTSNET ©NBA Entities
Raptors's Dynamic Duo ©SPORTSNET ©NBA Entities
このインサートは試合途中にあったものなので、実際のスタッツとは少し違う。その後カイル・ローリーは4得点追加して、結果25得点。トレードに出されるんじゃないか的な噂があった選手とは思えん。みんな大好き、バランチュニスも13リバウンド(& いくつかのうっかりミス)で頑張ってましたよー。

2014/03/23

Another ACL Injury...Nuggets

今度はヒクソンの右膝前十字靱帯が断裂。チームのリバウンド・リーダーがいなくなるのは厳しいぞ。ファリードとのコンビネーションも良い感じだったのに。

不吉な3文字ランキングがあれば、きっとACL(=Anterior Cruciate Ligament:前十字靱帯)は、かなり上位にくるはず。これでナゲッツには、前十字靱帯断裂の選手が3人に。

ガロ:昨シーズン2013/4/4のマブス戦で断裂。今シーズンの復帰を目指すも再建不十分で再手術。夏のキャンプを目指してリハビる日々。

ネイト:2014/1/29 ホームのボブキャッツ戦で断裂。今シーズン絶望。来シーズンはプレイヤー・オプションでチームに残留する見通し。開幕目指してリハビるとか。

ヒクソン:2014/3/21 ホームのマブス戦で断裂。今シーズン絶望。3年契約の1年目なので来シーズンも契約有り。いつ復帰できるんだろ。。

疲労骨折のマギーも然り、またしても主力メンバーをコートの外に引きずり出すなんて……。誰かの意地悪か、誰かの与えた試練なのか…。

Broken Nuggets ©Altitude TV ©NBA Entities

Statistical analysis of 3P (2013-14 as of today)

まず有権者に訴えたいのは、スパーズとウォリアーズの試合を見ていて書きたくなった「スパーズもアウトサイドがんばっているよ!」ということ。

ご存じ、スプラッシュ・ブラザーズ。ウォリアーズのシューター、ステファン・カリーとクレイ・トンプソンのコンビ名(?)というか、2人のニックネームなのであります。


スプラッシュは「スプラッシュ・マウンテン」の「スプラッシュ」と同じ「水しぶき」という意味。水泳の高飛び込みキレイに入水すると、小さく水しぶきがあがります。バスケットボールでもシュートしたボールがバックボードやリングに触れることなくリングを通過すると、まるで水しぶきが上がるようにネットが跳ね上がるのです。このニックネームは、彼らの放つシュートの美しさを形容しているのであります。


NBAで活躍したデル・カリーの血を受け継ぐステファンは、2012-13シーズンでレギュラーシーズの3P成功数歴代1位となる216本を記録。今シーズンはファン投票でオールスターに選出されるなど、名実ともにスーパースターなのであります。

ちなみに、シーズンの3P成功数歴代2位は1996-97シーズンにグレン・ライスが記録した181本なので、ぶっちぎりにすごい3Pシューターであることはご理解いただけたのではないでしょうか。

そんな彼らが所属するウォリアーズは、シューティング・ゲームを得意とするチーム、という印象が強いのであります。

stats.nba.com 現地2013/3/22時点の統計でウォリアーズとスパーズを比較。

TEAM 3FGM 3FGA 3FG%
GSW 9.1(6th tie) 24.3 (7th) 37.4% (6th tie)
SAS 8.4 (9th tie) 21.1 (17th) 39.7% (1st)

有権者の皆さんに訴えたいのは、両チームの3Pシュートの試投数は3.2本も違うのに、成功数は0.7本しか違わないということ。スパーズの3P成功率はリーグ1位なのであります。チームのアシスト数25.2本(リーグ1位タイ)であることを考えると、より良い状況で3Pシュートが打てていると言えるのであります。

ご静聴、ありがとうございました。