2014/03/24

Andre Miller at Pepsi Center

2014/3/23 Wizards 102 @ Nuggets 105
アンドレ・ミラー、ペプシセンターに見参。かれこれ元日のシクサーズ戦以来。でも、あぁ…。今はもう違うユニフォーム。1Q終盤いよいよ出場か!?……という場面でブライアン・ショーと二言三言(握手? エール交換?)言葉を交わし……ていいる間に1Q残り時間がほとんどなくなりいったんベンチへ。出場は2Qの最初から。ナゲッツファンはどんな反応をするのか興味津々だったけど、ブーイングも喝采もあがらず、至ってフツーな反応…。

Brian Shaw and Andre Miller
Shaw and Andre Miller ©Altitude TV ©NBA Entities

Brian Shaw and Andre Miller
Shaw and Andre Miller ©Altitude TV ©NBA Entities

というか、ブーイングするにも、拍手をするにも「ホントのトコロ」が分からなすぎて態度を決めかねていたファンも多いと思う。それよりもローソンVSウォールの「速いのはどっちだ対決」が気になるし。実際、やりあっていて面白かったし。

以下、時系列通りではないけれど。今回の騒動について思ったこと。

A・ミラーにとっては、良い移籍だったと思う。

Andre The Great - celebration infographic the 8th player 15,000 points & 7,500 assists in NBA history
アンドレ・ミラーは、
15,000得点、7,500アシストを記録した
NBA史上8人目の選手。
©Denver Nuggets
見方によってさまざまだとは思う。デンバーに家を持っていたアンドレ・ミラーは、ナゲッツで現役を終えようとしていただろうに。ナゲッツのファンとしては、チームに残ってほしかったとも思うし、残るべきだったなと。選手とコーチの衝突なんて、ないほうが良いに決まってる。一方、彼のファンとしては移籍は正解だったと思う。キングスでもなく、ウォリアーズでもなく、ティンバーウルブスでもなく、ウィザーズで良かった。時間はかかったけれど。プレイオフを深く進むことを目標にしている若いチームへの移籍は、長年チームを支えてきてくれた功労者への敬意も感じられる。

ただ、あの『衝突』も「チームのことを思って」のことじゃないかと、勝手に想像するわけで。真相は違うもかもしれないけれど。


あの『衝突』……の前に、おさらい。

オフシーズンにナゲッツのフロントが変わった。マサイ・ウジリさんのトロント復帰による退任とジョージ・カールHCの更迭。コーチ更迭については、「スーパースターがいないチームを毎年のようにプレーオフに導き(*1)、コーチ・オブ・ザ・イヤー(*2)を獲得したばかりのコーチを更迭だなんて!」という反対派(?)と、「おいおい何回プレーオフ1回戦敗退すればいいのさ。カールのシステムじゃあプレーオフで勝てんぞ!」という賛成派(?)と、ファンの間でも意見が分かれていたみたい。

ともあれ、新GMにティム・コネリーさん(当時36歳)、新ヘッドコーチにブライアン・ショーさん(当時47歳)を迎え、フロントの若返りが図られた。選手として、アシスタント・コーチとして5つのチャンピオンリングを持つショーさんには「プレーオフで勝てるチーム」と「若手の育成」が求められたのは、想像に難くなく。

*1 : 任期中の9年間を含む10年連続プレーオフ進出。レイカーズでも10年連続は記録していない。

*2 : 2012-13シーズンに球団記録の57勝25敗を達成。ホーム38勝3敗はリーグ最高。


ジョージ・カールのシステム。

簡単に言うと、イケイケのトランジション・オフェンス。隙があれば速攻を仕掛け、チャンスがあれば皆がシュート打つというスタイル。標高の高いデンバー(*3)の地の利を生かしたアップテンポな試合展開。とにかく走る全員バスケ。Mile High Magic、Mile High Advantage なんてフレーズもしっくりくる。

ジョージ・カールさんは試合に勝つために、ベテランの力に頼るところもあった。勝ちに重きを置いた采配で、球団オーナーから「若手の育成に力を入れてくれ」的な注文(*4)もあったけれど、それじゃあ勝てないからとスルーしていたことも更迭の要因になったのでは、という説もあったり、なかったり。

アンドレ・ミラーもジョージ・カールさんのシステムで重宝されていた選手。勝負所で試合に出ては、流れを変えたり、さらに勢いづけたり。地味ながら良い仕事をするんだな、これが。4Q終盤に出てきて試合を閉じることも多く、信頼度抜群という感だった。
2012-13シーズンは、2番手PGとして1試合平均26.2分出場。

*3 : ロッキー山脈のふもとにあるコロラド州の州都。スポーツ選手が高地トレーニングで訪れるボルダーも同じコロラド州の街。MLBコロラド・ロッキーズの本拠地クアーズ・フィールドは標高が高くて打球が良く飛ぶ、ホームランの出やすい球場としても知られているかどうかは、あなた次第。まあ、NBAのトップアスリートでも、標高の高さカラダが慣れていなければバテやすくなるわけで。
*4 : ワシントン・ウィザーズからトレードで加入したジャベル・マギーのプレイタイムが少なかったり、勝負所でベテランばかり起用したり。


ブライアン・ショーのシステム。

変わったのは、ディフェンスの意識と、ハーフコートの意識。「Smash-Mouse Basketball」をキーワードに挙げて、インサイドで相手とゴリゴリやり合うスタイルを目指すという。開幕当初は特に、アップテンポな試合展開は鳴りを潜め……。上手くいってもいかなくても、スクリーンプレーを攻撃の起点にするようになった。ピック&ロールからのインサイドアタック(あるいは、ドライブイン)……からのキックアウトとか。たまにピック&ポップとか。

ハーフコート・オフェンスが噛み合わなくても続けていたのは、「長期的な視野でチームの文化をつくっていこう」という意図があったからだろう。3年契約の1年目だし。ただ、走れるビッグマンが多いだけに勿体ないような気も個人的にはしていた。若手メンバーのプレイタイム増加と反比例するように、ミラーの1試合平均19.0分にまで減っていく…。

Nuggets 2013-14 Campaign with 3-PG
Nuggets 2013-14 Campaign with 3-PG

ショーのシステムがチームにハマっているのか、いないのか、判断しかねる序盤の連敗&連勝。11人ローテーションを試したり、9人ローテーションを試したり。スクリーンプレーのディフェンスをスイッチディフェンスにしたり、ファイトオーバーにしたり。なかなか「カタチ」が見つからない間に、ミラーの『衝突』や主力の離脱が続き……現実路線で勝てる戦術、選手自身がやりやすいスタイルに譲歩していったように感じる。

現在のシステムが本来目指していたシステムなのか疑問が残っている。苦しすぎる台所事情に対処していく中で最善の戦術を採用しているのでは、と。要するに、不測の事態が多すぎて、純粋にシステムを評価するには材料が足りないのだ。


ナゲッツのポイントガード事情。

タイ・ローソン、ネイト・ロビンソン、アンドレ・ミラーの3人体制で開幕を迎えたが、1月1日にミラーを失い、1月29日にネイトを失い(シーズン全休となる前十字靱帯の負傷)、2月8日にローソンを失う(肋骨骨折で9試合の戦線離脱)。ローソン離脱中はチームにPGがいない状況に。ありえん。フォイとフォーニエが代役を務めるも1勝8敗。なんとかこなしているものの、PGとしてゲームを支配することはできなかった。

ガード出身のショーは、そのポジションの重要性を熟知しているはず。噂はいろいろ出たけれどミラーのトレードはなかなかまとまらず…。結局トレード期限終了日にジョーダン・ハミルトンをトレードに出してアーロン・ブルックスを獲得することに。
あぁ、JHam…。ロケッツでプレイタイムを増やしているようで、それはそれでおじさん嬉しいよ。


2014年初日、シクサーズ戦。

今思えば11月後半の7連勝が出来すぎだったのかもしれない。選手のプレースタイルにあっていない(ように見える)ハーフコート中心の戦術で勝ててしまったから。その反動が12月中旬にやってくる。7連敗なんて、2002-03シーズンの8連敗以来の最長連敗記録だ。なんてこったい。しかも7敗目はリーグ最下位候補のシクサーズにロード3勝目を献上するという…。ディフェンス・ローテーション、崩壊したい放題。内から外からお気に召すまま。1Q 24失点 2Q 44失点の前半68失点。シクサーズの前半68得点&ひとつのクォーターで44得点は、当時のシーズンハイ。ハイライトはこちらにも



タイムアウトで、あの『衝突』。

散々な試合展開だったからなのか、どうなのか。82試合の長いシーズンでは、点差が開いて試合結果が見えると若手を出場させて経験を積ませる采配が見られることがある。この試合は3Q終了時で14点のビハインド。逆転するにはなかなか厳しい得点差。実力も実績も劣る若手が試合に出ている中、ミラーはベンチに座りっぱなし。

パスを上手く回せない、シュートセレクションが良くない、不要なファウルをする、ディフェンスは振り回されっぱなし……。

ミラーもきっと「自分が出たほうがまだマシだ」と思ったに違いない。想像だけど。「コートに出られずベンチに座って見ているだけ」だった彼の心情を慮ると……ララララララ……言葉にならない。

4Q残り5:33、ナゲッツのタイムアウト。ベンチの前でアンドレ・ミラーがアシスタントコーチたちに激しい口調で何か言っている。映像にも残ってるんだからね!←誰?


結局、この試合ミラーは最後までコートに出ることはなく…。ベンチ入りした13選手の中で唯一の、そして彼のキャリアで初めてのDNP-CD(Did Not Play-Coach's Decision)。239試合連続出場記録が途切れてしまった。


IMO:結局「リーダーは誰なんだ」問題なのでは。

「衝突」の原因は「プレイタイムのことで不満を持っていた」という報道があったけれど、自分の役割を知っているベテランがプレイタイムのことだけであそこまで炸裂するだろうか。チームも2試合のチーム活動停止処分&トレード意思表明するだろうか。

「プレイタイムのことで不満を持っていた」ということは、選手の起用方法だけでなく、チームのシステムや戦術にも不満を持っていても不思議ではないわけで。「こんなハーフコート・バスケットじゃ勝てねえよ!」くらい言っている可能性も十分考えられるわけで。もちろん、勝手な想像だけれど。

次の試合からアップテンポのバスケが戻ってきたことを考えると、ミラーの噴火が戦術を選手にアジャストさせるきっかけになったと考えるのがフツーなわけで。


ショーコーチのインタビュー。すべての選手をコーチするのが自分の仕事。どの選手にもコートでプレイするチャンス与えたい。だから、プレイタイムが少なくなることもある。自分はミラーが(NCAAトーナメントで準優勝した)ユタ大学の選手だったころからのファンだったから、とても残念。でも我々は前に進まなければならない、とのこと。たぶん、英訳不十分。ショーの言い分は至極もっとも。

1年目コーチにとっては、ロッカールームからピザを排除したように、ショー体制の規律や文化をつくっていくことも大事な仕事になってくる。

チーム唯一の30代で在籍年数が一番長い多い「鉄人」の発言は、若い選手にとって尊重すべきものだっとと思う。ショーの現役時代と比べても、個人スタッツはミラーのほうがはるかに上だし。もし両者からプレイに関するアドバイスがあったら、そして両者のアドバイスが食い違っていたら……、若い選手はどちらの意見がより参考になると考えるだろう。

チームの結束力を強くするために、チーム全体が同じ方向を向くために、ミラーとナゲッツは別の道を進まなければいけなかったんだと思う。違うタイミングで出会っていたら、違う結果になっただろうけど。
それが僕の出した結論。

おまけ。

「アンドレ・ミラーのトレード先はどこがいいと思う?」というThe Starterの議論。ウィザーズで良かったよ。ウォールとビールはサポートしがいあると思う。プレースタイルも全然違うし、面白いチームになりそう……というか、既に心奪われてよ!ネネも居るし。



こちらもどうですか。なんとなく。



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